第10章

沈んでいく。急速に、意識が遠のいていく。

そのとき、何かに掴まれた――水じゃない、腕だ。陽翔の腕。でも、待って。脚の感覚すらないはずの彼が、水中でどうしてこんなに力強く……?

「真耶! 真耶!」彼の声が、すべてを切り裂いて響く。今まで聞いたことがないほど、必死な声だった。

彼が力強く水を蹴り、目的を持って進んでいるのが分かった。麻痺しているはずの人間の動きとは、まるで違う。でも、意識が朦朧としていて、それが何を意味するのかを考える余裕はなかった。

次に起きたことは、まるで夢のようだった。

陽翔はどうにかして私をプールの縁まで運び、そして――彼がプールから這い上がる音が聞...

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