第9章

一晩中、ほとんど眠れなかった。怜奈の脅しが頭の中で何度も繰り返される。父さんの署名があるあの書類が、まるで剣のように私たちの頭上にぶら下がっていた。

陽翔からメッセージが届いた。『審査会は九時からだ。俺たちも行かなきゃならない』

私はスマートフォンの画面を、震える指で見つめた。私たちには会議室に入る資格すらない。何かを止めることなんて、できるはずもなかった。でも、諦めるわけにはいかない――もしあの病院が本当に再開されたら、中には子供たちがいることになるのだ。

心臓が激しく脈打つのを感じながら、服を着替えた。これが、最後のチャンスかもしれない。

朝になる頃には、市庁舎の前に...

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