第2章
美智視点
「いったい私はどこに座ればいいの?」私は真に食ってかかった。
理奈は助手席を陣取り、まるで大陸横断飛行にでも出かけるかのように、ハンドバッグとブランケットを広げていた。亜紗里は真ん中の列を独占し、双子を両脇に従え、三人ともすでに手元のデバイスに夢中だ。そして、本来なら私の席であるはずの後部座席は、ピンクと白のストライプ柄の買い物袋の雪崩の下に消えていた。
袋を数えてみる。少なくとも二十個はある。人間が座るであろうスペースを隅から隅まで埋め尽くしていた。
真は首の後ろをさすりながら、私の顔以外のあらゆるところに視線を彷徨わせた。「うん、まあ、スペースがないみたいだからさ。だから、家に残ったらどうかなって」
あまりにも何気なく、その言葉は放たれた。
「家に残る。結婚五年目の記念旅行に?」
「誰か家を見てなきゃいけないだろ?それに、母さんのバラ、毎日水をやらないと。あのバラにはすごくこだわりがあるの、知ってるだろ」
理奈が助手席の窓から身を乗り出す。その表情には、見え透いた同情がにじんでいた。「美智、ねえ、きっとその方がいいのよ。次は私たち四人だけで、何か特別なことをしましょう。約束するわ」
次ですって?ふざけるな!
亜紗里はスマホから顔を上げようともしない。「それに、キャンピングカーのこと何も知らないでしょ。どっかへんぴな場所で故障したらどうするの?タイヤ交換もオイルチェックも、何の役にも立たないじゃん」
私は自宅の私道に立ち尽くし、真が割って入ってくれるのを待っていた。彼の母親と妹に、これは私たちの記念旅行で、私は彼の妻で、自分の休暇から追い出されるなんてあんまりな仕打ちだと、そう言ってくれるのを。
けれど、彼はただ微笑むだけだった。いつもの、あの謝罪めいた、役立たずの笑顔。「わかるだろ、なあ?その方が理にかなってるんだよ」
燃え上がる怒りと凍てつくような恐怖が内側から私を引っ張り、一瞬、本当に息ができなくなった。
「ええ」と私は言った。「とても理にかなっているわ」
私は真が座る運転席の窓へと歩み寄り、彼は今にも出発したくてたまらないといった様子で、すでにハンドルを握っている。彼の手をかすめて助手席のドアをカチリと静かに閉めた。
「気をつけて運転してね」私は理奈に言った。「鹿に気をつけて」
真はなんと、にっこり笑った。「最高だよ、美智。本当に。ああ、それと、バラのこと忘れないで。母さんが、暑くなる前に毎朝水をやってくれって。やりすぎないで、ほんの――」
「バラの水やりの仕方くらい知ってるわ」
エンジンが唸りを上げて始動する。私は芝生の上に一歩下がり、親戚の集まりでそうするように教え込まれたやり方で手を振った。笑顔を顔に貼り付け、自分の役割をわきまえた、物分かりのいい妻を演じながら。
キャンピングカーがのっそりと通りを進んでいくのを見送る。角を曲がって見えなくなるまで、理奈の手が窓からひらひらと振られていた。
それから私はガレージに入った。ろくに使い方も知らない工具が几帳面に並べられた真の有孔ボードを通り過ぎ、私がどうすれば喜ぶかを調べる時間より、彼がリサーチにはるかに多くの時間を費やしたであろうカーケア用品の棚を通り過ぎる。
銀色のレンジローバーが、所定の位置に停まっていた。彼が自分への三十歳の誕生日プレゼントとして買った車。私が「大きな車には慣れていない」からという理由で、運転させてもらえなかった車。十六歳から運転していて、バンパーを擦ったことすらないというのに。
私は、彼が私が知らないと思っていたキーボックスから、スペアキーを取り出した。
家の中に入り、スーツケースを寝室まで引きずっていくと、震えの止まった手でファスナーを開けた。まるで守るべき貴重品であるかのように、慎重に隠しておいたギフトボックスを取り出す。
ベビーシューズは、今となっては滑稽に見えた。小さくて、希望に満ちていて、そして、まったくもって無意味だ。
キッチンへ歩いていき、ゴミ箱の蓋を持ち上げ、箱ごと中へ放り込んだ。何の儀式もなく、ためらいもなく、ただラッピングペーパーがゴミに当たる鈍い音がしただけ。
スマホはすでに手にあった。鷲原公園の予約画面を開き、キャンセルボタンを押す。一部返金通知の表示は、ほとんど目に入らなかった。そして、新しい検索窓を開く。
青浜岬。大学時代からずっと行きたかった場所。でも、真はいつも、遠すぎる、高すぎる、休暇で行くには現実的じゃないと言っていた。
検索結果の一番上に、青浜温泉が出てきた。崖の上に立つ高級リゾート。夢の中から出てきたようなオーシャンビュー。大人限定。
私は、そこの一番いいスイートを予約した。プライベートテラスと屋外シャワー、そして、自分の結婚記念旅行から自分を追い出したような相手と共有する必要のない、キングサイズのベッドがついた部屋だ。
それから外へ出て、理奈のバラ園へと向かった。「真はバラに囲まれて育ったから」という理由で、彼女が断りもなく私たちの庭に作った庭園だ。
ホースがフェンスのそばでとぐろを巻いていた。私はそれを手に取り、その重みを感じながら、五年間のことを思った。欲しくもなかった植物に水をやり続けた五年。頼んでもいない庭で、車に乗る価値もないと私に告げた女のための五年。
「毎朝、暑くなる前に」私は真の真剣な口調を真似て、声に出して言った。「水をやりすぎないように」
私はホースを土の上に落とした。
枯れてしまえばいい。全部しなびて、茶色くカサカサになってしまえばいい。理奈が家に帰ってきたとき、そこにあるのが枯れた茎と乾いた花びらで満たされた庭で、そうしてようやく、この家族の何かが、あるべき姿になるのかもしれない。
私には荷造りすべきレンジローバーと、目指すべき海があった。
