第6章

美智視点

病院の駐車場の、誰からも見えない隅に停めたランドローバーの中で、私は座っていた。全身の感覚が麻痺していた。ただ、目の奥で奇妙な脈動だけが感じられた。泣き出す寸前、でも必死にこらえている時のような、あの感覚だ。

スマートフォンを取り出すと、ひどく手が震えて落としそうになった。一ヶ月前、私がレンタルしたキャンピングカーにGPS追跡装置とクラウド同期型のドライブレコーダーを取り付けた時、真は笑いものにした。「心配性だな」と彼は呆れたように首を振って言った。「レンタルのキャンピングカーを盗むやつなんて、どこのどいつだよ?」でも、私が心配していたのは泥棒じゃない。まさに、こういう事態...

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