第7章

美智視点

息ができなかった。真っ昼間の病院の駐車場、車の中に座っているというのに、文字通り、肺に空気を送り込むことができずにいた。

「もうすぐだよ、梨乃」真の声は柔らかく、優しささえ感じられた。「美智のことでちょっと寄り道しなくちゃならなくてね。あいつ、青浜岬で問題を起こしてるんだ。でも、今夜中には片付くはずだ。遅くとも明日の朝にはそっちに着く。準備は万端かい?」

「もちろんよ」電話の向こうで書類ががさりと音を立てるのが聞こえた。「美智の会社の株式譲渡書類、家の権利書のコピー、それに先週あなたがサインした離婚合意書も。うちの弁護士が法的に有効だって確認してくれたら、計画のすべてを進め...

ログインして続きを読む