第10章カリックス

感情が渦を巻き続けるなか、俺は唸り声を噛み殺した。本気で感情を抑えなくてはならない。俺は双子のうち、感情を手なずけて、表に出さず、呑み込まれもしないほうであるはずだった。感情を見せない双子――それが俺だった。騒がしくて感情的なのはマルクスの役目だ。あいつはいつだって心をむき出しにしている。俺の感情は埋めてある。深く、いくつもの層の下に。

だが、この二十四時間がそれをめちゃくちゃにした。普段の俺からすれば、今の俺は惨状だ。ズヴィアドに変身を強いられたこと。父に楯突いたこと。そしてマルクスが、血を流すアマリエを連れてここから飛び出していったこと。

「ママ、どこ?」小さな声が台所の戸口からぴょこ...

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