第58話モリー

 どこぞの子犬が、あたしの花を盗もうとしたなんて信じられない。あのガキ、頼めば――一本くらいはやってもよかったかもしれない。……ううん、やらないけど。これは双子があたしのためにくれたものなんだから。どこの雌犬だろうと、自分の子犬を使ってあたしの花を盗ませるなんて、許さない。

 これはあたしのだ。ピンクはあたしのいちばん好きな色で、バラはいちばん好きな花。本当は赤いバラのほうがよかったけど、まあいい。双子はあたしの好きな色を覚えていてくれたんだ。バラに鼻を寄せて香りを吸い込む。ヴィッキーの匂いがする。双子たちは、きっと彼女の店でこれを買ってきたんだろう。

 会議場へ戻りながら、思わずひとりで...

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