チャプター 10

リナ視点

自分を抑えられなかった。温かく、コクのあるスープが舌に触れた瞬間、何かもっと原始的なものが私を乗っ取った。私はお椀に覆いかぶさるように背を丸め、スプーンで次から次へと口にかき込んだ。手は焦りで震え、スプーンの柄を握る指の関節は白くなっていた。次の一口を運ぶ前に、かろうじて飲み込む。目は食べ物から一瞬も離さなかった。

『いつ奪われるかわからない。もっと速く。隙を見せちゃだめだ』

急いで飲み込むたびに胸が締め付けられる。温かさが空っぽの胃に広がり、長い間まともな栄養を摂っていなかったせいで、それはほとんど痛みに近かった。ペースを落とす勇気はなかった。

突然の静寂が、物理的な衝撃の...

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