第106章

レオ視点

俺は祭壇の前に立ち、歴代の「北の群れ」のアルファたちが受け継いできた、黒と金の儀式用スリーピースに身を包んでいた。漆黒の生地は深みがあり、ラペルと袖口には精緻な金の刺繍が施されている。その糸が光を捉えるたび、月、狼、そして群れの古き伝統を象徴する模様が浮かび上がった。歴史の重みが肩にのしかかるが、それは心地よい重圧だった。今日、俺は正式にアルファとなり、そして何よりも重要なことに、狼族の全コミュニティの前で、リナを俺の「ルナ」として迎え入れるのだ。

儀式の場は、魔法のような空間へと変貌を遂げていた。至る所が白いバラと銀のリボンで飾られ、何百ものキャンドルが参列したゲストたちを温か...

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