第120章

リナ視点

トリカブトとバレリアンの根が混じった鼻を突く匂いが、毒性の瘴気となってあたりに立ち込めており、目が沁みるほどだった。私たちの周りでは、毒に侵された戦士たちが間に合わせの担架の上で身をよじらせ、その呼吸は浅く苦しげだった。苦痛に満ちた喘ぎが聞こえるたび、絶望感がナイフのように私の胸を突き刺した。

エレナは、治癒を試みていた最後の戦士から身を引いて立ち尽くしていた。その古びた手は疲労と苛立ちで震えている。「この毒は浄化できん」彼女はそう言うと、その年老いた顔に敗北の色を浮かべて一歩下がった。「トリカブトがバレリアンの根と、これまで見たこともない形で結合しておる。わしの能力を超えておるよ...

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