チャプター 15

レオ視点

机に広げられた報告書を俺は見つめていた。もう百度目になるような同じ段落に、ただ目を滑らせる。どれだけ集中しようとしても、心は彼女の元へと、リナの元へと引き戻されてしまう。

椅子に深くもたれかかり、集中できない自分にいら立ちながら、ペンで木の机をせわしなく叩く。国境の報告書に目を通さなければならない――東の領地では、はぐれ狼の活動が活発化しているのだ。だが俺の頭に浮かぶのは、リナが厨房で野菜を刻んでいた時の、震える手のことばかり。白金色の髪が光を捉えた様。そして、偶然にも俺の視線とぶつかった時の、あの信じられないほど青い瞳に宿る怯え。

彼女が俺に抱かせるこの感情が憎かった。彼女が...

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