第152章

リナ視点

ポールのキスは、単なる肉体的な侵害ではなかった――それは私の魂そのものへの冒涜であり、内なる何か根源的なものを破壊しようとする行為だった。無力な私の一瞬一瞬を、彼がじっくりと味わっているのがわかった。傷ついた獲物をもてあそぶ捕食者のように、一秒一秒を引き延ばしている。彼の指先には何かを探るような計算高さがあった。まるで、彼が私の知らない何かを知っていて、私が何かを企んでいると疑ってはいるものの、その正体までは掴みきれていない、というような。

バレてる。毒のように、そんな恐怖が心をよぎった。どういうわけか、今夜の脱出計画を、彼は知っているんだ。

絶望が、自分でも知らなかった力を与...

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