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レオ視点

リナの唇の味は、溺れかけていたところから息を吹き返したかのような感覚をもたらす。全身の細胞が安堵に震え、必死の歓喜に打ち震え、何日もの間自分に禁じていた渇望が満たされていく。彼女はここにいる。現実に。俺の腕の中に。胸に感じる彼女の鼓動、髪に残る何をされたのかも分からない薬品のようなツンとする匂いの奥にある、彼女自身の香り。

だが、彼女との口づけに我を忘れても、ありったけの愛と切なさを注ぎ込んでも、心の片隅で、暗く絶望的な何かが爪を立てている。彼女がまた消えてしまうかもしれないと囁く声。これはすべて夢かもしれないという疑念。いつ目を覚ましてもおかしくない、目を覚ませばまたあ...

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