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リナ視点

湯船に沈むと、温かいお湯が優しい愛撫のように私を包み込み、柔らかな蒸気が雲のように私たちの周りに立ち込める。レオの視線は私から片時も離れることなく、私たちの間にある最後の障壁を取り去っていく。その動作は慎重で、まるで崇拝するかのようだ。彼が私の背後から浴槽に入ってくると水位が上がり、液体の温もりが私たち二人をすっぽりと包み込んだ。

「こっちへ」

彼はそう呟く。その声は感情と欲望で荒くなっていた。

お湯の中で振り返り彼と向き合うと、その灰色の瞳に宿る激しさに息を呑む。これは単なる肉体的な欲求ではない――これは、私たちが奪われかけたものを取り戻すための行為であり、ポール・...

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