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リナ視点

背の高いドレッサーへと歩み寄る。そこには時折、私の内なる狼(ウルフ)にさえ隠している秘密が眠っている。指先は冷静かつ慎重に、二段目の引き出しにある隠しレバーを探り当てた。柔らかな吐息のような音を立てて引き出しが滑り開き、ベルベットの裏地と共に、選び抜かれた凶器――深紅のレースが姿を現した。

それは単なる布切れではない。一つの声明(マニフェスト)だった。最高級の、そして最も挑発的な織りの中に編み込まれた、輝かしくも背徳的な欲望の欠片。シルクのローブを床に滑り落とし、光がそのレースを捉える様を見つめる。その深く罪深い赤色は、危険と降伏を等しく物語っていた。

その中に身を滑り込ませる...

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