チャプター 26

リナ視点

レオの巨大なシルエットが視界を遮った瞬間、意識は掬った指の間からこぼれ落ちる水のように遠のいた。墨汁の中に溺れるような、完全な虚無へと私は沈んでいった。ほんの数分前まで私が入っていた、あの燃えるように痛む肉体は、まるで全くの別人のものであるかのように、遠く異質なものに感じられた。

暗闇の中で恐怖が私を掻きむしった。私は死ぬの? ついに薬が私の体を蝕み尽くしたの? 思考は怯えた鳥のように散り散りになり、虚空を螺旋状に落ちていく中で、まとまった形を成すことができなかった。

『スノー? スノー!』

必死に私の狼を呼んだが、彼女の存在はこの奇妙な世界の狭間ではかき消され、届かなかった...

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