チャプター 5
レオ視点
SUVのヒーターを最大に効かせる。窓の外を流れていく果てしない白銀の景色を、俺はただ見つめていた。一マイル進むごとに、受け入れたくない現実が近づいてくる。またしても探索が失敗に終わったという苛立ちから、顎が痛くなるほど奥歯を食いしばり、ハンドルを握る指の関節が白くなった。
「また無駄足だったか」心の中で、俺の狼であるシャドウが低い声で言った。疑問形ではなかった。
胸の奥で唸り声がこみ上げる。ふざけたことに、もう二週間だ。南部の縄張りにある三つのパックを回った。それでも、成果はゼロ。ルナはいない、メイトはいない。日に日に、内なる虚無感が大きく口を開けていく。
友人のイーサンからメッセージが届き、スマホが震えた。ちらりと画面に目をやると、彼の双子の娘たちの写真。ぷくぷくの頬をくしゃくしゃにして笑っている。『娘たちがお気に入りの叔父さんに会いたがってる。いつになったら遊びに来るんだ?』
胸が痛いほど締め付けられた。イーサンは二年前、彼のメイトであるアリアを見つけた。二人とも俺の友人だ。今や彼らは、娘たちと共に完璧なアルファの家族を築き、パックを率いている。三ヶ月後の俺の戴冠式までに、俺が喉から手が出るほど欲している、そのすべてを。
「もしかしたら、存在しないのかもしれないな」俺はそう呟き、スマホを助手席に放り投げた。
『そんなことを言うな』シャドウが唸ったが、彼自身の疑念が俺たちの繋がりを通して染み出してくるのが感じられた。
「じゃあ他に何だって言うんだ?」俺は手のひらでハンドルを叩きつけ、声を荒らげた。「半径五百マイル以内のパックは、クソッたれ、全部探したんだぞ。二度もな」
『俺たちは努力した』シャドウの声は、らしくなく穏やかだった。『月の女神には、何か別の計画があるのかもしれない。あるいは、彼女はもう――』
「やめろ」俺は喉から絞り出すように唸った。見つける前にメイトが死んでしまったかもしれない、なんて可能性は、考えるだけで耐え難い苦痛だった。
北のパックの拠点へと続く正門をくぐると、母が家の階段で待っていた。その顔は希望と期待に満ちていた――俺が一人だと気づくまでは。がっくりと肩を落とすその姿に、母さえも失望させてしまったのだと痛感した。
身を切るような寒さの中、車から降りる。風がナイフのようにジャケットを切り裂いた。ソフィアは階段を駆け下りてくると、身長六フィート四インチの俺より一フィート近くも小柄なのに、俺を力強く抱きしめた。
「ああ、愛しい子」母はそう囁くと、腕を解いて俺の顔を覗き込んだ。俺とよく似たその瞳が、理解の色に満ちていた。「今回も駄目だったの?」
俺は首を横に振り、喉の奥の塊を飲み込んだ。「母さん、どこもかしこも探したんだ」
母は俺の腕をぎゅっと握った。その感触は、俺がまだ幼い頃からずっと、俺を支えてくれる錨だった。「中へお入りなさい。骨の髄まで凍えているように見えるわ。マリアが一日中料理してくれていたのよ――あなたの好物ばかりをね」
母屋の中へ足を踏み入れると、暖かい空気が俺を包み込んだ。松と杉の木の香りが、料理の匂いと混じり合っている。だが、我が家の安らぎでさえ、胸に巣食う虚しい痛みを和らげることはできなかった。
「お父様が会いたがっているわ」母がそっと言った。「書斎にいらっしゃるわ」
アンドリューは巨大なオーク材のデスクの後ろに座り、北部同盟からの報告書を読んでいた。俺が入っていくと顔を上げ、一言も発する前に、その表情がすべてを物語っていた。
「また手ぶらか?」父は老眼鏡を外しながら尋ねた。
その声に含まれた失望の色に、俺は苛立った。「まだ時間はある」
「三ヶ月だ」父は語気を強めて反論した。「レオ、お前の戴冠式まで三ヶ月。パックには安定が必要だ。次期アルファの隣にルナがいる姿を、皆に見せる必要がある」
怒りがこみ上げた。「それで、そのルナがケイラであるべきだと? 俺が何の感情も抱けない女が?」
「彼女は他のパックのアルファの娘だ。その血統は非の打ちどころがなく、この同盟はワーベアの脅威に対する我々の立場を強化することになるだろう」父の目がわずかに和らいだ。「息子よ、パックが最優先だ。常に。お前も分かっているはずだ」
父の言葉は正論だったが、だからといって素直に受け入れられるものではなかった。「彼女は俺のメイトじゃない」俺は歯を食いしばって言った。
「ああ」父も同意した。「だが、彼女は生まれながらにしてルナになるための訓練を受けてきた。パックによく仕えるだろう」父はため息をつき、白髪交じりの髪を手でかき上げた。「ただ、考えてみてくれ。頼んでいるのはそれだけだ」
俺は背を向けた。これ以上反論できなかった。その論理は、たとえメイトと月の女神の意志という俺の信念すべてを裏切るように感じられたとしても、筋が通っていた。
俺は自分のスイートルームに引きこもり、蝶番がガタガタと音を立てるほどの力でドアを叩きつけた。木枠に木がめり込む音に、一瞬、野蛮な満足感を覚えた。
「彼女は俺のメイトじゃない」俺は檻の中の獣のように部屋を歩き回りながら、声に出して唸った。「そんなこと、するもんか」
『だが、もし俺たちが彼女を永遠に見つけられなかったら?』心眼に、俺の半身である巨大な黒狼の姿を思い浮かべながら、シャドウが問いかけた。『もし、彼女がもう死んでしまっていたら?』
「そいつは随分と慰めになるな」俺は吐き捨て、旅で着古した服を脱ぎ捨てて部屋の向こうへ放り投げた。
シャドウが何か言い返す前に、パックのリンクを通してノアの声が頭に響いた。
『よぉ、戻ったのか! メイト探しは何か進展あったか?』
何の面白みもない、乾いた笑いが漏れた。『どう思う?』
『悪いな、レオ』ノアの声には心からの同情が滲んでいた。だが、その声色はすぐに真剣なものに変わる。『聞いてくれ。知らせておくべきことがある。今朝、北の境界で雌のローグを見つけた。ワーベアの匂いがする』
全身が硬直した。吐き気を催すほど鮮明な記憶が蘇る。脳裏に次々と映像がフラッシュバックした――三年前のイーサンのパック。夜襲。仲間たちの死体。そして、実の妹を殺害しようとし、ワーベアのもとへ追放された金髪の女とその母親。俺は拳を固く握りしめた。伸びた爪が手のひらに深く食い込む。
『境界の警備は何をしていたんだ?』言葉を重ねるごとに怒りがこみ上げてくる。『怪我人は? なぜそいつはまだ息をしている、ノア?』
『脅威ではなかった』ノアは慎重な口調で説明した。『俺たちが見つけた時、彼女は半死半生だったんだ、レオ。全身傷だらけで、意識もなかった。匂いからして、あのワーベアのクソ野郎どもから逃げてきたらしい』
『知ったことか』俺は怒りに身を任せて吐き捨てた。『ローグで犯罪者――そんな奴は見つけ次第、処刑が当然だ。好きにしろ』ノアが何か言う前に、俺は一方的に精神リンクを遮断した。
俺はシャワー室に駆け込み、出せる限りの熱湯をひねった。浴室はたちまち湯気で満たされる。筋肉の強張りと血に滾る怒りを、熱湯で焼き尽くしてしまいたかった。ワーベア共のところから来たローグが領内にいるというのに、正式な後継者となるためのルナすら見つけられない現状に、虫唾が走る。
控えめなノックの音が寝室のドアから聞こえ、思考が中断された。腰にタオルを一枚巻きつけてバスルームから出ると、すぐに高価な香水と欲望の混じった匂いを嗅ぎ取った。
戸口に立っていたのはケイラだった。髪を肩に流し、想像力を掻き立てる以外に役割のない、タイトな黒いドレスにその身を押し込んでいる。唇は、本人が誘惑的だと思い込んでいるであろう笑みの形に吊り上がっていた。
「戻ってきたって聞いたわ」彼女は甘ったるい声を出し、断りもなく部屋に足を踏み入れた。その目は飢えたように俺の裸の上半身を這い回る。「長くて、成果のなかった旅の後だから、少し……慰めが必要かと思って」
彼女はわざとらしく腰を揺らしながら、こちらへとにじり寄ってきた。その手が伸び、湿った俺の肌を指先がなぞる。「あなたの力になれるわ、レオ」吐息からシャンパンの匂いがするほど近くで、彼女は囁いた。「アルファをどうやって喜ばせるか、ちゃーんと知ってるんだから」
俺の中で、何かがぷつりと切れた。たとえ永遠に見つからなくとも、運命の相手以外の誰かと肌を合わせる――その考えがもたらす本能的な嫌悪感に、俺は思わず後ずさった。
「出ていけッ!」俺が吼えると、アルファの声がその力で壁を震わせた。「今すぐ俺の部屋から出ていけ!!」
ケイラの目は驚きと恐怖に見開かれ、顔からさっと血の気が引いた。彼女は後ずさり、ハイヒールで足をもたつかせながら慌てて部屋を飛び出していく。その背後でドアがバタンと閉まるのと同時に、シャドウの満足げな唸り声が頭の中に響き渡った。
スウェットパンツにどうにか足を通したところで、再びドアが乱暴に開け放たれた。今度飛び込んできたのは母さんで、その目は俺自身のものに勝るとも劣らない怒りで燃え盛っていた。
「レオ・アレクサンダー・ウィンターズ!」母さんが俺のフルネームを叫んだ。
「今度は何なんだ?」自分の部屋で襲われかけたのはこっちだというのに、母さんの怒りがまったく理解できず、俺は素直に聞き返した。
「ノアから聞いたわ。境界の近くで見つかった娘を、あなたが見ようともしなかったと」その声は失望で硬い。「ワーベアから逃げてきたのよ。貴重な情報を持っているかもしれないというのに」
「そいつはローグで、たぶん犯罪者だ」俺は胸の前で腕を組んで言い返した。「だからこそ、そもそもワーベア共と一緒にいたんだろうが」
「それはわからないでしょう」母さんは反論し、俺の目を見上げるために首を伸ばさなければならないほど近くに踏み込んできた。「もしあの子が奴らの動きや計画について何か知っていたらどうするの? これは未来のアルファが取るべき振る舞いではないわ、レオ」
母の言葉は的を射ていた。俺は湿った髪を手でかき上げながら、彼女が正しいと認めざるを得なかったが、素直に頷く気にはなれなかった。
「わかったよ」歯を食いしばって絞り出すように、俺は唸った。「そのクソ忌々しいローグに会いに行ってやる」
母が去った後、俺は急いでジーンズとセーターに着替え、精神リンクでノアに呼びかけた。
『あのローグ、まだ息はあるだろうな。俺が直接出向いて始末してやる』
『隔離房に。まだ意識はありません』ノアが即座に答えた。
パックハウスを抜け、地下の拘留エリアへと向かう途中、突然、頭の中でシャドウが落ち着きなく歩き回り始めた。胸の奥から奇妙な感覚が込み上げてくる。まるで目に見えない糸に、前方へと引かれているようだ。
『一体どうしたっていうんだ?』シャドウのそわそわした感じが強まり、俺は廊下で足を止めて問いかけた。
『下に何かがいる』シャドウの精神の声は、期待に満ちて緊迫していた。『何か、大事なものが。お前には感じないのか?』
『何を感じるんだ?』
『まるで……何かが俺を呼んでいるんだ。俺たちを』
