チャプター 50

レオ視点

時間がゆっくりと流れる中、俺はリナが獣のような正確さでケイラに飛びかかるのを見ていた。ついさっきまで彼女は机のそばで震え、血に濡れ、自分の名が深紅で殴り書きされた書類をただ見つめていたというのに。次の瞬間には、殺意を漲らせ、とぐろを巻く蛇のように、命を奪うほどの危険さを孕んで動いていた。

恐怖と衝撃が、物理的な一撃のように俺を襲った。心臓が完全に停止し、次の瞬間には暴走を始めた。パニックが神経の末端まで浸水していく。優しく、心に傷を負った俺のメイトが、ほとんど見分けのつかない何かに変貌していくのを目の当たりにして。

「リナ、やめろ!」

俺は前へと飛びかかり、彼女の肩に手を伸ば...

ログインして続きを読む