チャプター 93

レオ視点

最初のはぐれ狼が、人ならざる速さで下草から姿を現した。牙を剥き、爪を伸ばしている。奴が狙っていたのは、間違いなくリナの喉元だった。そのとき、信じられないことが起こった。

リナの指先から、稲妻が迸ったのだ。

電気の奔流は、跳躍の最中にあったはぐれ狼を直撃し、森中に響き渡る絶叫とともに地面へと叩きつけた。男は痙攣しながら森の床をのたうち回り、肉の焼ける鼻を突く臭いと焦げた毛皮の匂いが大気に満ちる。まだ息はあったが、完全に無力化されていた。

俺は衝撃に目を見開き、リナを見つめた。「いつそんな技を覚えたんだ?」

彼女も俺と同じくらい驚いているようだった。「わ、私にもわからない。た...

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