第九十七章

リナ視点

「ごめんなさい」レオの胸に顔を埋めたまま、私は囁いた。頬の下から、彼の心臓が刻む安定したリズムが伝わってくる。「みんなに心配かけて、本当にごめんなさい。あんなふうに心を閉ざしてしまって」

彼の腕に力がこもる。温かい毛布のように、彼の心の声が私の意識を包み込んだ。『謝るな。トラウマを生き延びたことを、決して謝ったりしちゃいけない』

「でも、私がもっと強ければ……」そう言いかけた私を、レオは体から引き離し、私の顔を両手で包み込んだ。

「違う」彼はきっぱりと言った。その灰色の瞳には、激しい感情が渦巻いている。「これは俺の責任だ。君のせいじゃない。あの地下牢に君を入れるべきじゃなかっ...

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