第8章

結婚式場を後にして、私たちは車で海へと向かった。

直人が車を止め、二人で砂浜へと歩き出す。潮風がウェディングドレスをさら、まるで海辺に浮かぶ白い雲のように躍らせた。

「きれいな場所ね」

私は潮の香りを深く吸い込んだ。

「あの教会の空気より、ずっと美味しいわ」

「気分はどう?」

直人が気遣わしげに尋ねる。

「すっきりした」

私は微笑んだ。

「こんなに晴れやかな気分、初めてかもしれない」

私はハイヒールを脱ぎ捨て、裸足で砂を踏みしめた。波がリズムよく岸に打ち寄せ、まるで私たちの新しい人生への序曲を奏でているようだった。

「直人」

私は遠くの水平線を見つめた。...

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