第7章

桜井絵里視点

私は震える手で電話に出た。

「絵里!」受話器の向こうから、祖母である桜井千代の厳しい声が響いた。「自分が何をしているか分かっているの? よりにもよって、あなたの後見人と!」

全身の血が凍りついた。「お祖母様、どうしてそれを――」

「私が知らないことなどあるものか」祖母の声は怒りに満ちていた。「あなたの両親が指名した後見人、高橋大輔と恋愛関係にあるって? とんでもないスキャンダルだわ!」

目の前がぐらりと揺れた。「お祖母様、それは誤解です……」

「もういい!」祖母は私の言葉を鋭く遮った。「今、空港にいるの。すぐに迎えに来なさい。そんな馬鹿げた関係は終わらせなけれ...

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