第7章

啓介のアパートの前で、私は彼からもらった合鍵を握りしめ、十分ものあいだ立ち尽くしていた。この鍵を使うのは、初めてだった。

昨夜の喧嘩が、まだ頭の中で響いている。私の過去について決して話さないこと、患者を本当に愛していたのかという彼の問い。

「ちゃんと全部説明しよう」と私は自分に言い聞かせた。「そうすれば、やり直せるかもしれない」

この辺りの夜は静かで、時折通り過ぎる車の音だけがその静寂を破っていた。深呼吸を一つして、私は玄関の鍵を開けた。

「啓介?」と小声で呼んでみたが、返事はなかった。リビングは窓から差し込む薄暗い街灯の光に照らされているだけだった。

彼が帰ってくる前に、...

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