第5章

「彼女の通行許可証に署名したのは、私だ」

 大長老の声が中庭を切り裂いた。ベータの衛兵が骨の杖を握りしめ、群衆を押し分けるようにして、荒れ果てた前庭へと大股で踏み込んでくる。

 彼は踏み荒らされた私の荷物を見下ろし、次に、まだ月長石へ伸びかけているセラフィナの手に目をやった。顔色がみるみる陰る。

「一族の掟により、彼女の許可は有効だ。月長石はルナの聖遺物。それを彼女から剥ぎ取ろうとするのは掟への冒涜だ。お前たち、反乱を扇動しているつもりか!?」

 護衛たちが壁のように並び立った。さっきまで私の血を求めて叫んでいた狼たちは、急に気勢を削がれたように後ずさる。セラフィナは慌てて手を引っ込...

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