第10話

「その完璧で愛らしい唇は『やめて』と言ってるが、体はまるで別のことを訴えてるぜ」

キーランが荒々しく耳元で囁き、私の顔を彼の方へ向けさせた。鼻先が触れそうな距離だ。彼の熱い吐息が顔にかかり、ミントと何か甘い香りが強く漂ってくる。

思考を整理する間もなく、彼の肉感的な唇が私の唇に重なった。キーランの手が私の後頭部に添えられ、唇を押し付けてくる。ほんの一瞬、私は完全に思考停止に陥った。キーランの唇は柔らかく、それでいて力強く、私を圧倒するほどの激しさと熟練した動きで迫ってくる。まるでキスを通じて、彼の欲望と思考を私の中に注ぎ込んでいるかのようだった。彼の口は熱に浮かされたように動き、私には解読...

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