第172話

ケイデン視点

番(つがい)である彼女から人生最高のキスをされた後、俺は無敵になったような気分だった。ストレスも、喧騒も、終わりのない複雑な事情も、すべてが溶け去っていくようだった。リリーのキスには、俺に命を吹き込み、世界のすべてを消し去ってしまう力がある。それに、俺のユニフォームを着た彼女の姿ときたら……クソッ。もし股間のガードをつけていなかったら、フィールド上でとんでもない醜態を晒すところだった。

残りの試合中、俺はまるで火がついたようにプレーした。すべての動きを彼女のために捧げた――リリーが試合のルールなんてこれっぽっちも理解していないと分かっていてもだ。そんなことはどうでもよかった。...

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