第19話

二の腕を強く掴まれる感触に、喉から押し殺したような悲鳴が漏れた。恐怖という力は凄まじい。これほど強烈な恐怖を味わったのは、生まれて初めてだった。それは思考を麻痺させ、感覚を曇らせ、人間性を剥ぎ取り、ただ「生きたい」という剥き出しの本能だけを残す。

私は自分を掴んだ相手の目を見なかった。見たくなかったのだ。悲鳴が空気を切り裂く中、私は激しく暴れた。残された最後の力を振り絞り、蹴り、殴り、爪を立てる。ついにその手が離れ、歩道に倒れ込んだとき、私は顔を上げた。

キーランとイーサンが、まるで暴れ狂う野生動物でも見るかのように、戦慄した眼差しで私を見下ろしていた。私の顔の傷に気づくと、彼らの表情が一...

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