第196話

オベロン視点

「くそっ!」

思わず口をついて出た悪態だった。

娘が家から――そして自分の「つがい」である男から――逃げ出していくのを見送り、俺は打ちのめされていた。だが正直なところ、完全に驚いたわけではない。ダリアはその優しさや思いやり、そして聡明さと同じくらい、どうしようもなく頑固な娘だ。一度こうと決めたらテコでも動かない。まるで母親そっくりだ。

これまで「つがい」の絆について、彼女の気持ちを正面から聞いたことはなかった。だが、聞くまでもないことだ。彼女の振る舞いや、友人や患者が運命の相手を見つけた時の何気ない一言に、その本音は透けて見えていた。

「イゾルデはずっと運命の相手に会いた...

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