第22話

枝の折れる音に思考を中断され、二匹の狼が空き地に姿を現した瞬間、私の心臓は止まりかけた。狼を生で見るのは初めてだった。これまでは写真や映画の中だけの存在だったのだ。その二匹は巨大だった。想像をはるかに超える大きさだ。どちらも真夜中のような漆黒の毛並みを持ち、それが艶やかに輝いている。野生の狼というのはもっと薄汚れているものだと勝手に思い込んでいた。生息域については詳しくないけれど、少なくともジョージア州に狼はいないはずだ。何より不可解だったのは、私が恐怖を感じていないことだった。まるで私の心と体が、死は避けられないものとしてあっさりと受け入れてしまったかのようだ。

脳内で最悪のシナリオが再生...

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