第229話

ローガン視点

「クソッ!」俺は咆哮し、拳を壁に叩きつけた。その衝撃が部屋の静寂を引き裂いた。

口にした瞬間、やらかしたと悟った。リアの瞳が一瞬痛みに歪み、すぐにそれを隠そうとしたあの表情――俺の胸を抉った。彼女が必死に癒そうとしていた傷、俺たちが癒してやるべきだった傷を、俺は無理やりこじ開けたんだ。ようやくかさぶたになりかけていた場所に、また生傷を作っちまった。

なんで俺は黙っていられなかったんだ? 曲を書き上げてあんなに嬉しそうだったのに。身を引くことなく俺に抱かれ、まるでそれを望んでいるかのように俺の感触に浸っていた。ただ褒めただけなのに、まるで世界中の全てを手に入れたかのようなあの...

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