第270話

ローガン視点

「紳士淑女の皆さん、次はダリア・スターリングの登場です! 盛大な拍手を!」

司会者の声が会場中に轟いた。

「みんな、幸運を祈っててね!」

リアはいたずらっぽい笑みを浮かべてそう言うと、また一杯ショットを煽り、急いでステージへと向かった。

「あいつ、一体何を飲んでるんだ?」

彼女の甘く、この世のものとは思えない歌声が室内に満ち始める中、俺は席に深く座り直し、リンクを通じて兄弟に問いかけた。今の彼女には苛立ちを覚えていたが、その声を聞くと、どうしても心が解きほぐされてしまう。

「さあな。テキーラじゃないか?」とリアムが推測する。

「明らかに出来上がってるぞ。目を離さないよう...

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