第274話

ダリア視点

ローガンがSUVのギアを乱暴にパーキングに入れると、エンジンの唸り声が消え、車内は唐突な静寂に包まれた。彼は瞬く間に車を飛び出し、すでに後部座席のドアを荒々しく開け放っていた。私はリアムの膝の上に乗ったまま、凍りついたように動けない。頭では動けと命令しているのに、体が言うことを聞かないのだ。

「俺に寄越せ」

ローガンの声は短く、そこには明らかな苛立ちが滲んでいる。

リアムは体勢を変え、私の腰を軽々と持ち上げると、待ち構えるローガンの腕の中へと私を渡した。だが、私が抗議する間もなく、彼は私を米袋のように肩に担ぎ上げた。まるで羽のような軽さだと言わんばかりに。そして、ためらいな...

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