第299話

ローガン視点

くそっ。なんてことだ。

遅かれ早かれこうなることは分かっていた。俺はヘマをして、絶対に見せたくなかった自分の一面を彼女にさらしてしまった。俺の中の、もっとも暗い部分を。

今や彼女は俺に嫌悪感を抱き、二度と触れられることさえ怖がるかもしれない。正直なところ、彼女を責める気にはなれない。俺だって自分自身に反吐が出る思いだ。俺の中の狼さえも激怒していた。

「俺たちの番(つがい)を傷つけやがって、このクソ野郎が!」

彼女の部屋のドアから離れる際、狼が唸り声を上げた。

その通りだ。お互いに分かっていたことだが、俺はまだそれを声に出して認める気にはなれなかった。さっき彼女が何も言わずに...

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