第352話

【リアム視点】

俺はただ、呆然と立ち尽くしていた。俺たちの番(つがい)が、空中で姿を変えたのだ。

アルファであるローガンと俺は、誰よりも変化(シフト)の速度が速く、滑らかであると自負していた。だが、あれは……あれは全くの別次元だ。

一瞬、俺は驚きのあまり身動きが取れなかった。隣の静けさから察するに、ローガンも同じように圧倒されているようだ。

「彼女にあんな芸当ができるって知ってたか?」彼が尋ねる声には、驚嘆の色が滲んでいた。

「まさか」俺はまだ息を呑んだまま答えた。「俺たちの番には、驚かされてばかりだ」

「それに、ずいぶんと差をつけられちまったな」と彼が付け加える。

衣擦れの音が耳に届く...

ログインして続きを読む