第51話

町に戻ると、イーサンは残りの道のりを移動するためにレンタカーを手配した。三十分も走ると、車窓からの景色に見覚えのある建物が増え始め、近づくにつれて不安が胃の中で渦巻いた。私は唇を噛んだ。ストレスを感じた時の癖だ。

「心配することは何もないさ」

イーサンは私を安心させるように言い、えくぼを見せてニカっと笑うと、視線を道路に戻した。

「セバスチャンがお前に手出しすることはないし、ジェシーももう関係ない。ローレンやダレンの近くに行くことだってないからな」

「その人たちのことを心配してるんじゃないの」私はため息をついた。「私が逃げ出したとき、置いてきたのはあなたとキーランだけじゃなかったから」...