第89章

階段を下りる時、石川おじいさんは江口美咲に、今の状態でベッドから出られるかどうか尋ね、許可を得ると、石川悠斗と執事に支えられながら、一緒に下りていった。

江口美咲は目を伏せ、平静を装って食卓に着き、できるだけ存在感を薄めようとしていた。

隣の石川七海は、まるで意図的であるかのように、時折話題を振り、まずは藤原花子に、そして彼女に質問を投げかけた。

石川おじいさんがいる手前、江口美咲はそれらに一つ一つ応じていた。

しばらくすると、玄関から執事の挨拶の声が聞こえてきた。

「高橋様」

続いて高橋隆司の低く短い返事が響いた。

やがて、長身の男性の姿が皆の前に現れた。

「石川おじいさん...

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