第91章

夕食の後、石川おじいさんは階段を上がって休みに行った。

江口美咲も後に続いて上がり、もう一度老人の体調を確かめてから、階下に戻ると、皆に別れを告げた。

「こんな遅い時間だから、送るよ」と石川悠斗が申し出た。

江口美咲は笑いながら断った。「いいえ、結構です。まだお客さんもいらっしゃるし、おもてなしを続けてください」

その言葉を聞いて、石川悠斗もこれ以上は強引に勧めず、ただ言った。「それならば、気をつけて帰ってください。それと、さっきのおじいさんの言葉、気にしないでください。年を取ると、あれこれと余計な心配をしたがるものですから」

江口美咲は微笑んで、そのまま立ち去った。

「もう遅い...

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