第6章

「開発会社の人からだった」電話を切りながら、私は言った。手はまだ震えている。「私のビルを買い取りたいんだって。メインストリートの半分と一緒に」

亮介の表情が、心配そうなものから真剣なものへと変わった。「開発会社?」

「小さな町をストリップモールやチェーン店だらけに変えちまう、ああいう手合いよ」私は古いピックアップトラックに寄りかかった。「何か月も白峰町を監視していて、好機をうかがっていたって」

「好機って、どんな?」

「売りに出される物件。経営難に陥ってる店」吐き気がした。「私みたいに、どんな条件でも飛びつかざるを得ないほど追い詰められてる人間とか」

亮介は少しの間黙っ...

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