第1章

朝のラッシュが落ち着き始めた頃、初めてその子を見かけた。

ウェディングプランナーだった頃の古い癖で、三度目のカウンター拭きをしていたとき、どんな表面も完璧でなければならなかったあの頃の癖だ――ふと、外の何かに目が留まった。窓のそばに立つ、十二、三歳くらいの男の子。もう十分はそこにいるだろうか。身じろぎもせず、ただメニューボードをじっと見つめている。

布巾を置き、私は改めてその子に目をやった。

切りそろえる必要のありそうな黒髪。痩せた体には大きすぎる冬物のコートは、まるで誰かのお下がりのようだ。でも、私の心に引っかかったのは、その立ち姿だった。注意深く、自分がここにいていいのか確信が持てないような。まるで、存在するための許可を待っているかのように。

その気持ちは、よく知っていた。

最後のお客さんだった長谷川奥さんがコーヒーを飲み終え、「また明日ね、莉奈ちゃん!」と明るく言って店を出ていく。ドアの上のベルがチリンと鳴り、ダイナーは急に静かになった。ガラス越しに、男の子が手のひらの何かを数えているのが見える。見たところ、硬貨のようだ。

胸が、少しだけ締めつけられた。

彼は手のひらと、窓に貼られた料金表を何度も見比べている。メープル・バターミルク・パンケーキ――630円。その子の肩が、がっくりと落ちた。

その表情には見覚えがあった。何を隠そう、私自身の顔で見たことがある。和也が望んでいた家庭を、自分には決して与えられないと悟ったあの日に。それが食べ物であれ、未来であれ、喉から手が出るほど欲しいのに、自分には手が届かないと知ってしまったときの顔だ。

私はドアまで歩いていき、それを開けた。三月の空気は冷たいけれど、青葉州に雪解けの直前に訪れる、あの春の予感を運んでいた。

「入らない?」と声をかけた。

彼は、はっとしたように振り返った。その瞳は、出来上がる前のメープルシロップみたいな、温かい茶色をしていた。「えっと……僕は……」

「大丈夫よ、坊や。中に入る? こっちのほうが暖かいわ」

彼は一瞬ためらった後、もじもじと近寄ってきた。間近で見ると、思ったよりも幼い。間違いなく十二歳か、それより下かもしれない。頬が寒さで赤くなっている。

「あの」と彼は、訛りはあるがはっきりした英語で、慎重に言った。「メープルパンケーキ……もしかして、500 円でお願いできますか?」

私の心臓が、馬鹿みたいにきゅんと音を立てた。それは、昔、結婚式のファザー・ドーター・ダンスで花嫁の父親が涙ぐむのを見たときのような、純粋で、少し切ない幸福感だった。まだ、ハッピーエンドが保証されているわけではないと知る前の、あの頃の気持ち。

「パンケーキは何人分かしら?」私は一歩下がって彼を中に招き入れながら、尋ねた。

「ひ、一人前だけです。僕の分です」彼はポケットから手を出し、それにいくつかの小銭を見せた。「数えました。ちょうど、500 円です」

この子――割引をお願いするために、外でずっと勇気を奮い起こしていたであろう、この礼儀正しくて慎重な子を見ていると、胸の内で何かが変わるのを感じた。

「チップは込みだから、大丈夫よ」私は微笑んで言った。「さあ、お腹いっぱいになりましょう」

彼の顔がぱあっと輝いた。本当に、誰かがスイッチを入れたみたいに。

私は彼を角のブース席、キッチンが一番よく見える特等席へと案内した。「名前は?」

「蓮。葉山蓮です」

「私は莉奈。そして蓮、あなたは今、一番おいしいパンケーキを注文したのよ」

それは本心だった。曾祖母から四世代、食べ物とは時に、目に見える形になった愛情なのだと知る女たちに受け継がれてきたレシピなのだから。

厨房に戻ると、生地を一から作り始めた。本物のバターミルクに、ほんの少しのバニラ。ふんわりと、でも重くならない絶妙な量の小麦粉。鉄板はすでに完璧な温度になっている。この仕事を長く続けているから、音でわかるのだ。

受け渡し用の窓から、蓮の様子をうかがった。彼は背筋を伸ばして座り、膝の上で手を組んで、何もかもを記憶しようとするかのように周りを見渡している。赤いビニール張りのブース席、ヴィンテージのコカ・コーラの看板、窓から差し込む朝の光。

生地が鉄板に触れ、ジュッと音を立てた。一枚目のパンケーキをウサギの形にしてみる。馬鹿げているかもしれないが、昔、ウェディングブランチで子供たちのために動物の形を作ってあげていたのだ。新郎新婦はいつも、それをチャーミングだと言ってくれた。

「どんな動物が好き?」と私は声をかけた。

「動物?」彼の声は驚きで裏返っていた。

「パンケーキの形よ。好きな形にできるわ」

彼は少し黙り込んだ。「たぶん……キツネ、かな? 祖母さんがよくキツネの話をしてくれたんです」

キツネに決まり。小さくて、先の尖った耳とふさふさの尻尾がついた、完璧な黄金色のパンケーキを三枚作った。メープルシロップを小さなピッチャーに入れ、本物のバターと、この子には必要だろうと思っておまけにつけたベーコン二枚を添えた。

彼の前にお皿を置くと、蓮はただじっと見つめていた。

「何か問題でも?」と尋ねる。

「いいえ、す……すごく綺麗です」彼の声は柔らかく、ほとんど敬虔な響きさえあった。「ありがとうございます、奈央奥さん」

それから彼は食べ始めた。

まあ、この子の食べっぷりといったら。何日も食事にありついていないかのように、素早く効率的な一口で、息継ぎもほとんどしない。だが、明らかに空腹であるにもかかわらず、その食べ方は上品で、丁寧で、誰かに良いマナーを教え込まれたかのようだった。

そのことが、私の心を少しだけ締め付けた。

私は鉄板を掃除するふりをしながら、ずっと彼を見ていた。一口一口を味わう様子、パンケーキのひとかけらずつにシロップを絡める様子、明らかに飢えているのに、少しでも長持ちさせようとしている様子を。

食べ終えた彼は、ふう、と小さな満足のため息をついて背もたれに寄りかかった。その姿を見て、私がそもそもなぜ人に食事を提供したいと思ったのかを思い出した。ウェディングの仕事をする前。和也と出会う前。何もかもが狂ってしまう前のことだ。

「今までで一番おいしい朝ごはんでした」と彼は言った。私はその言葉を信じた。

言われもしないのに、彼はお皿を重ね始めた。きちんと積み重ね、ナプキンを一番上に畳んで乗せる。まるでよく訓練されたレストランの従業員のようだ。

「そんなことしなくていいのよ」

「ママンがいつも、自分の後は自分で片付けなさいって」彼は言葉を止め、顔に影が差した。「彼女が……いなくなる前は」

彼は大事に数えた硬貨を取り出し、テーブルの上に置いた。きっかり500 円。

「ありがとうございました、また……いつか来てもいいですか?」

「いつでもどうぞ」と私は心から言った。「このダイナーは二十四時間営業だから」

彼は――今度は本当に――微笑んで、ドアに向かった。最後の最後で、彼は振り返った。

「キツネのパンケーキ、最高でした」

窓から、大きすぎるコートを着たその小さな後ろ姿が遠ざかっていくのを見送りながら、私はこの五年感じたことのなかった何かを感じていた。希望、とまではいかない――まだその準備はできていない――けれど、温かくて、予期せぬ何か。

もしかしたら、私は自分が思っているほど空っぽではないのかもしれない。

翌朝、コーヒーメーカーに豆を補充していると、また彼を見かけた。窓際の同じ場所で、同じ慎重な立ち姿。だが今回は、小さなバックパックを肩にかけていた。

私の心臓が、またあの音を立てた。

今度は、彼が硬貨を数え終わるのを待たなかった。

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