第5章

帰宅後、私は剛臣に「話がある」とメッセージを送った。

リビングのソファに座り、まだ平らなお腹をそっと撫でる。アパートの中は、恐ろしいほどの静寂に包まれていた。玄関の向こうで剛臣の鍵が鳴る音が聞こえたが、私は身動き一つしなかった。

数秒の沈黙の後、私は覚悟を決めた。

「剛臣、美雪との子供を諦めて」

その言葉が口をついて出た瞬間、場の空気が凍りついたようだった。私の肩に置かれた剛臣の手が強張り、彼の顔からみるみる血の気が引いていく。

「何だって? お前、正気か?」彼は立ち上がり、驚愕の表情で私を見下ろした。

私は座ったまま、彼を見上げる。「私たちの子供を選んで。私たちの...

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