第11章 自分を信じなさい

彼女の顔には怒りの色がひとかけらもなかった。ただゆっくりとしゃがみ込み、砕けた磁器の破片を拾い集める。指先が切れて血がにじんでも、痛みはまるで届かない。

大丈夫。

お姉ちゃんは言った。ちゃんと生きて、と。

こうしてまだ息をしている。それだけでいい。

周囲のざわめきが不意に膨れ上がり、潮みたいに北条千雪を包み込んだ。

受付の若い社員たちがひそひそと顔を寄せ合う。目にあるのはあからさまな軽蔑だけ。棘のある言葉は、次第に遠慮をなくしていった。

「この人が、実の姉を死なせたくせに平然と鷹司社長に取り入って、図々しく結婚までした北条千雪? ほんとみっともない。あんな貧相な格好して、さっきま...

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