第12章 脚を少し開けて

木下香織は北条千雪を部署の集まりに誘い、元の空気に戻してやろうとした。

会は高級ホテルで開かれる。千雪は気乗りしなかったが、香織の押しの強さに負けた。

個室に入った途端、香織は彼女の腕に絡みつき、柔らかな声で宥める。

「今回の会食だって、千雪のデザインがあったからこそだよ。功労者抜きなんてあり得ないから」

個室の中はがやがやと騒がしい。千雪は隅の席を見つけて静かに腰を下ろした。耳元の喧噪は、自分とは無関係だと言わんばかりに。

「皆さん、改めてご紹介しまーす!」

香織がぱんぱんと手を叩くと、視線が一斉に集まった。

「こちら、帰国されたばかりの副社長――鷹司恭一です。これからは鷹司...

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