第14章 お姉ちゃんは高貴なスワン

北条千雪はドア枠に手をついて、ふらつく身体をどうにか立て直した。視線が、書斎机の隅へ落ちる。昨夜、徹夜で描き上げたデザインのラフが、何枚もそのまま置かれている。

鉛筆の線は、切れ味があって生々しい。ペンを握っている時だけ、まだ自分が生きている気がした。

図面に没頭している間は、お姉ちゃんがすぐそばにいるみたいで、眠くもならないし、疲れもしない。

よろけながら近づき、指先で紙に触れた瞬間、血がじわりと滲んだ。白い紙の上に、赤がにじみ、欠けた花びらみたいな跡になる。皮肉なことに、それはそのデザインに、ほんの少しだけ色を足してしまった。

北条千雪はその赤を見つめ、ふいに笑った。目の奥がつん...

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