第15章 魂の抜けた人形

木下香織は、モニターに表示された簡潔な退職届の文面を見つめ、すっと眉を寄せた。

「千雪、あなたが辞めるなんて信じない。何かあったの? 鷹司京介に無理やり言わされてるんじゃないの」

昨日、北条千雪が個室から飛び出してきたあの光景が、香織の胸を深く抉って離れない。

今の千雪は、崖っぷちに立たされているみたいだった。ほんの少し足を踏み外せば、そのまま落ちてしまいそうで。

仕事をしている時だけが、彼女に「生」を宿していた。

香織は、彼女を手放したくなかった。才能がある。救えるなら、引き上げたい。

北条千雪は携帯を握る指に力を込める。数秒の沈黙ののち、埃みたいに軽い声で言った。

「誰にも...

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