第16章 姉の日記

北条千雪が顔を上げた。鷹司京介を見据えるその視線は、これまでにないほど嫌悪と氷の冷たさを孕んでいる。あまりに見慣れない目に、鷹司京介の胸がひくりと跳ねた。

「触らないで」

声は小さい。けれど刃のように、迷いがない。

今になってようやく分かった。鷹司京介は自分をお姉ちゃんの代わりだと思って扱っていたわけじゃない。ただ、痛めつけるために縛りつけていただけ。

それなら――死んだほうがいい。これ以上、彼の思いどおりになるくらいなら。

鷹司京介は、まさか彼女が逆らうとは思っていなかった。しかも大勢の前で、腕を振りほどくなんて。

「北条千雪……死にたいのか?」

怒らせた時は、頭を下げて詫び...

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