第17章 息をすることさえ間違いだ

北条千雪は別荘で高熱を出し、意識の霞んだまま三日間、寝込んでいた。

その間――鷹司京介は、一度も姿を見せなかった。

熱が引いたあとも、喉の焼けるような痛みだけは消えない。水を飲むたび、刃物を飲み込むみたいに喉が裂けた。

スマホの画面が点いては消える。届いているのは、この数日ずっと木下香織からのメッセージばかり。問い詰める言葉は一つもなく、並んでいるのは気遣いと、静かな励ましだった。

「千雪、ちゃんと自分のことを大事にして。きっと戻って来られるって信じてる」

「あなたは私が見てきた中で、いちばん才能のあるデザイナーよ。埋もれさせちゃ駄目」

「千雪、強くなって。ちゃんと、生きて」

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