第25章 死ぬべき者が、まだ何の面目を求めるのか

午前四時きっかり。彼女は時間どおりに家を出た。

通りは静まり返り、街灯の鈍い光だけがアスファルトの上にぼんやりと影を滲ませている。

晩秋の風が冷気をまとって服の隙間へ潜り込み、北条千雪は薄い上着の前を押さえながら、胸に企画書を抱きしめた。

五十分後、鷹司グループ本社の正門前に立つ。警備室の灯りは点いたまま。事前に話を通してあったため、今回は呼び止められることもなく、警備員が無愛想に奥を指しただけだった。

「鷹司社長から。最上階の会議室で待て、とのことです」

最上階はさらに風が強い。エレベーターの扉が開いた瞬間、骨まで噛むような冷気が顔へ叩きつけられた。

北条千雪は会議室のドアを押...

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