第33章 彼女にはまだ羞恥心があったとは

鷹司京介は、篠原茉優を怒らせるなと、とうの昔に彼女へ釘を刺していた。

そして今の北条千雪の振る舞いは、どれもこれも京介の神経を逆撫でしてくる。

北条千雪はそれ以上は拒まず、二人のあとに続いて店内へ入った。

少し距離を置き、ゆっくりと歩く。

楽しそうに笑い合う二人。肩を並べて絵を眺め、他愛ない話題で盛り上がり――そこに自分がいることだけ、綺麗に忘れている。

お姉ちゃん、見えてる?

あなたが愛した鷹司京介は、ちゃんと幸せそうだよ。

あなたの期待を、あの人は裏切ってない。

篠原茉優はわざとらしく京介の肩へ身を寄せ、振り返って千雪を見た。

……表情が、ない。

視線にも、光がひと欠...

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