第35章 彼を愛した自分が気持ち悪い

北条千雪は、篠原茉優が車に乗り込むのを見送った。

気のせいかもしれない。けれど、茉優がこちらを一度だけ振り向いた気がした。

見慣れた家の玄関を遠くから眺めながら、千雪は悟る。

もう、あそこには二度と帰れない。

翌日は週末だった。

朝早く、着信音で叩き起こされ、千雪は着替えて外へ出た。

仁愛病院。

鷹司京介はVIP病室のベッドに横たわり、定期的な輸血を受けていた。

母の鷹司静香は傍らに付き添い、青白かった息子の頬に少しずつ血色が戻っていくのを見て、ようやく胸を撫で下ろす。

鷹司京介は幼い頃から再生不良性貧血を患い、定期的な輸血が欠かせない。

そのうえ、彼の血液型は最も希少な...

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