第48章 車にはね飛ばされる

北条千雪の視線が、どうしても戻らない。

――あのブレスレットが、欲しい。返してもらえないだろうか。

祖母が遺してくれた腕時計も、玉のペンダントも、結局守れなかった。

これは、最後に縋れるものだった。

欲しいという気持ちを隠しきれず、視線はまっすぐブレスレットに落ちる。

篠原茉優の唇が、ほんのわずかに緩んだ。気づかれない程度の喜びを滲ませると、彼女は千雪の前まで歩み寄る。

「千雪、このブレスレット、好きなんだよね。あたしも……あなたにあげたい気持ちはあるんだけど、これはお母さんの気持ちなの。さすがに無下にはできないよ」

「そんな目で見られると、あたしもつらいし……やっぱり、あなた...

ログインして続きを読む